100人規模のサークルにSlackを導入した話
本記事は 総コン アドベントカレンダー の23日目の記事です。
今回は、総合コンテンツ制作サークルにSlackを導入した話を書きます。 この次期にSlackの話というと今更感がありますが、サークルに導入してから1年以上経って安定してきたので、この機にまとめたいと思います。
総コンについて
総合コンテンツ制作サークル (総コン) は、明治大学の中野キャンパスで活動する、大学公認サークルです。
その名の通り、なんでも作るサークルで、音楽班、プログラミング班、イラスト班、映像班、文芸班に分かれて活動を行っています。 (来年度から文芸班はなくなります。)
明治大学中野キャンパスができた2013年に、当時の1年生が創設したサークルで、キャンパスにサークル数が少ないこともあり、学部とのつながりが強いです。とりあえず入っておくかというノリで入ってくる新入生が多く、メンバーは多いときは100人以上にもなります。その分、相当数がフェードアウトしていますが。
昨年Slackを導入した時点では100人以上いました。現在は70人弱です。
Slackを仮導入するまで
もともと連絡ツールはLINEが使われていて、サークル全体のLINEグループと各班のLINEグループがありました。
まぁ、あれです。1:1でチャットする場合や2,3人のグループで使うのには向いていると思います。せいぜい10人くらいの仲間内で使うのが、ストレスなく使うことのできる限界だと思います。人数の増減はあれど、100人以上のメンバーがいた弊サークルには、不便を感じる人がたくさんいたと思います。
完全に私の肌感覚ですが、2015年に色々なところでSlackが導入される波が来ていて、音楽班でも、2016年春からSlackを使うことになりました。音楽班ではSlackを用いて知見交換や「俺の作った曲を聞いてくれ!!」や「このミクめっちゃかわいい!!」などが行われるようになり、交流が増えていいなーと思っていました。私は音楽班にしか所属していないので他の班の詳しい事情はわかりませんが、プログラミング班でもSlackが使われていたようです。
2016年の春学期には中野キャンパスで活動する総コン以外のいくつかのデジタル系のサークルでもSlackが使われていて、どうにかしたいと考えていました。夏ごろの役職者会議でSlackを導入したい旨を話すと、今年度はLINEを使っているから、重要な連絡はこれまで通りLINEで行うことを条件にSlackの導入の許可が降りました。
今年度中は本格的には使われないので、全体に関わる連絡はLINEにすること以外に特に規約を設けることなく、サラッと全員のメールアドレスにインバイトのメールを送って、サラッと導入しました。
秋頃の学園祭、明大祭でいくつかのグループができ、Slackが使われるようにりました。LINEでは通知が飛んでしまうため、ためらわれることでもSlackでは議論できていてよかったと思います。その反面、LINEとSlackの両体制の運用だったので、情報が分散されてしまったこともあり、このときは良くも悪くもないという感じでした。
本導入にあたって
その後、色々あり、2017年度からSlackをメインの連絡ツールに使うことが2017年の1月頃決まりました。 人数や内部組織の多いサークルなので、しっかりとした規約を設けないと秩序が保てないと考え、4月までに同じくSlack運営担当のときわくんとSlackの利用規約を作りました。ざっと利用規約を紹介していきます。
チャンネル
命名規則
- 英単語、記号を用いる 日本語は固有名詞以外不可
#shitumon
ではなく#question
- 連続する単語の接続には
-
を使う- オープンキャンパス:
#open-campus
- オープンキャンパス:
- 意味の異なる単語の接続には
_
を使う- DJ講習会:
#lecture_dj
- DJ講習会:
- 極力具体的な名前を使う
#gakusai
ではなく#meidaisai
、#ikumeisai
- 年度ごとに分けたい場合は最後に年度をつける
- 2017年度の新歓:
#welcome17
- 2017年度の新歓:
接頭辞
- 各班
- 音楽班:
m_
- プログラミング班:
p_
- イラスト班:
i_
- 映像班:
v_
- 文芸班:
l_
- 音楽班:
- BOTチャンネル:
post_
- 役職チャンネル:
ex_
- テストチャンネル:
test_
作成規約
- パブリックチャンネルは誰もが作れる
- 内容はなんでも可
- サークルの連絡ツールということをわきまえた上で、作成する
- 問題があればアーカイブ化されることがある
- 基本的にチャンネルはパブリックで作る
- プライベートチャンネルは
#window
で申請する - チャンネルの Purpose に目的を書く
- チャンネルを作成したら
#random
でつぶやく
発言ルール
#general
#*_general
といった general系チャンネルでは、0-9時の発言禁止
通知
#general
、自分の所属する班の#*_general
といった general系チャンネルではすべての新規メッセージ
(Activity of any kind
) に設定する。- その他のチャンネルは、
ダイレクトメッセージ、メンション & キーワード
(Only Direct Messages & Highlight Words
) に設定する。
権限
Owner: 管理者
Admin: 役職者
- プライベートチャンネルの作成
- チャンネルから参加ユーザの追放
- チャンネルのアーカイブ
- 全ての発言の削除
#general
への発言@everyone
の使用
Member: 会員
- パブリックチャンネルの作成
@channel
@here
の使用- 発言の削除
- ファイルのアップロード
- その他Slackで普通にできること
だいたいこんな感じです。
今のところ、問題なく運用できていると思います。
Slackの導入にあたっては、上記の通り、かなり守るべき項目が多かったです。
在学生には今年度が始まる前に総会で講習会を開き、利用規約を告知しました。
Slackの利用経験のない新入生には、Slackの使い方、利用規約などを1から教え込んだ上でアカウントを作成してもらいました。 (講習会、2時間くらいかかった…)
サークルの透明化
Slackの利用規約を作る上で、一番意識したことは、 サークルの透明化 です。
センシティブな内容を議論することもある役職者専用のチャンネル #executive
以外は全てパブリックのチャンネルにしました。
班の透明化
これまで、サークル全体の連絡や各班の連絡にLINEを使っていたため、自分の所属していない班の活動については、あまり良くわかりませんでした。また、班同士の交流も少なかったと思います。
各班には #*_general
#*_random
を設けました。(*
には各班の接頭辞が入ります。) 班員はもちろん参加必須ですが、その班に興味のある人も参加することができます。ここでキモとなるのが、通知設定です。班員は#*_general
での すべての新規メッセージ
を受け取る設定になっているので、班長が重要な連絡をする時に @channel
を付ける必要がなくなります。班員ではないが、興味があって班のチャンネルに入っている人は、自分にはそれほど関係のない他班の連絡で通知が飛んで来ることがなくなります。他班のチャンネルへ参加する敷居を下げて、他班の活動を知る機会が増えているのではないかと思っています。
各役職の透明化
総コンには、幹事長や会計、書記、合宿係、新歓係、学園祭係、システム管理係などなど、色々な役職があります。それぞれの役職には専用のチャンネルをつくりました。上の順に #ex_president
、#ex_accountant
、#ex_recorder
、#ex_camp
、#ex_welcome
、#ex_festival
、#ex_system
、という感じです。各役職者はそれぞれのチャンネルで、すべての新規メッセージ
の通知を受け取る設定にしてもらっています。
各チャンネルでは、それぞれの仕事に関連する議論などが行われています。パブリックチャンネルなので、誰でも参加することができます。例えば、何かものを買うときは、会計チャンネル ( #ex_accountant
) で会計さんに話を通すことで、サークル費から落とすことができます。メンバーはサークル費で何に使われているのかわかるとともに、学園祭シーズンなどに、重複した物品を買うことがなくなりました。
他にも、合宿チャンネル ( #ex_camp
) では、合宿の行き先やコンテンツについて合宿係に意見したり、学園祭チャンネル ( #ex_festival
) では、先輩から学園祭係にアドバイスがあったりしました。幹事長チャンネル ( #ex_president
) では、大学に提出する書類の添削を、手が空いている人がしていました。
フォロワーシップ
サークルのあらゆることが透明化し、他班や役職者の活動が見えるようになって、メンバー同士の理解や仲が深まりました。また、それ以上に、当事者以外の意見が聞こえるようになるというメリットがありました。
サークル運営に関わるあらゆることをパブリックにすることで、役職者に意見やアドバイスをしたり、手が空いている人が仕事を手伝うことができるようになり、サークル全体としての生産性が上がったのです。
組織のメンバーが、意見やアドバイス、手伝いなどをしてリーダーを補助したり、リーダーの誤りを修正することをフォロワーシップと言います。
まさに、透明化により可能になったメンバーによる役職者の補助は、フォロワーシップです。 総コンのメンバーの半数以上は先端メディアサイエンス (FMS) 学科の学生です。FMSでは1年次から研究室に配属されるため、時期によっては、忙しい人がいます。班長や各役職者も例外ではなく、班のマネジメントや、役職の仕事が疎かになってしまっている人も見受けられました。そんな中、サークルを上手く回していくには、フォロワーシップが大切だと思っています。Slackの導入によって、フォロワーシップを発揮しやすい環境になったことは非常に良いことだと思います。
思い返してみると、Slackの導入によって、他班の活動が透明化するということは狙っていましたが、フォロワーシップについては、そこまで深く考えておらず、手隙の人がサポートできたら合理的だよな程度にしか思っていませんでした。今考えてみると、Slackを導入して本当に良かったと思います。
サークル内システム
Slackを導入したメリットとして、各種Webサービスとの連携が可能になったという点が上げられます。
こちらは、総コン アドベントカレンダー 22日目の記事として、ときわくんが Google Apps Scriptでサークル内システムを構築しまくった話 をしているので読んでみてください。
個人的に、教室申請システムは、教室申請のハードルが下がり、講習会を開く人が増えたので、とても良いシステムだと思っています。
課題
Slackを導入して、透明化は進みましたが、下級学年のメンバーの発言が相変わらず少ないのが課題だなと思っています。
私も下級学年だったらと考えると、ほとんど発言しないだろうなと思うので、仕方ない気もしていますが、サークルなので、みんなでワイワイしたいですね。
おそらく、リアルで仲良くならないと、Slackではあまり発言できないのではないかと思います。
そろそろ引退の時期なので、後輩たちには、下級学年も話しやすいような環境作りを頑張ってほしいです。
さいごに
Slackの導入と運営を一緒にやってくれたときわくんに感謝しています。私は、音楽班の班長をやっていましたが、書記をやっていた彼は、Slack周りの環境もゴリゴリ整備してくれて、それも含め、いいサークルのシステムになったと思います。
総コンにSlackを導入できて本当によい経験になりました。
ありがとうございました。